新しい年がやってきました。
昨年はたくさんのご愛顧をいただき、誠にありがとうございました。
2025年のスタートを皆さまと迎えられること、大変ありがたく感謝申し上げます。
本年もさらなる「お役立ち情報」をお届けできるよう努めてまいりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
サンメディアCCSフラッシュNo.048では、以下の情報をお届けいたします。
● 「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(2)
● 弊社サービスのご案内 ~クレジットライン~
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【1】「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(2)
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文化審議会著作権分科会法制度小委員会が令和6年3月15日に
「AI と著作権に関する考え方について」を発表しました。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
本文書は、生成AI(人工知能)と著作権の関係を整理し、関係者の理解を深めること
を目的とし、AI技術の発展と著作権保護のバランスを図るための指針として、
関係者の参考となることを目指しています。
今回は、「2.検討の前提として」の要点です。
◆要点◆
2.検討の前提として
(1)従来の著作権法との整合性
〇日本の著作権法は、「著作者等の権利の保護」と「著作物等の公正な利用」の
バランスを重視し、文化の発展を目的としている。
〇AIの利用・開発についても、人間が行う創作活動との整合性を図り、AIを
「補助的な道具」として捉え、その責任は使用者に帰属する。「人間中心の原則」
著作権法における主要な論点
〇ア: 著作物の範囲
・「思想や感情を創作的に表現したもの」が著作物として保護される。
・事実・データ、ありふれた表現、アイデアそのものは著作物には該当せず
保護対象外。
・「表現・アイデア二分論」に基づき、表現のみを保護し、アイデアは自由
に利用可能とする。
〇イ: 著作権法で保護される利益
・著作権は「複製権」や「公衆送信権」など、特定の行為に適用される「支分
権」によって構成されている。
・ 閲覧や記憶といった行為は支分権が及ばず、著作権の保護対象外。
〇ウ: 権利制限規定の考え方
・権利者の許諾が不要な場合として、「私的複製」や「引用」などの規定がある。
・AI関連では「情報処理を目的とする軽微な利用」や「思想・感情の享受を目的
としない利用」も適用されることがある。
〇エ: 日本の著作権法の適用範囲
・著作物の利用行為が国をまたぐ場合は、どの国の著作権法を適用するかを判断
する必要がある。
・損害賠償請求は「結果発生地法」が適用され、差止請求は「保護国法」が適用
される。
・日本国内でAIの学習・生成が行われている場合や日本ユーザー向けに公衆送信
されている場合、日本の著作権法が適用される可能性が高まる。
(2)AIと著作権の関係に関する従来の整理
1.柔軟な権利制限規定の制定に至る背景と経緯
・デジタル化・ネットワーク化の進展により、著作物利用環境が大きく変化。
・IoT、ビッグデータ、AIの普及により、大量の情報を解析して新たな価値を生み
出す機会が増加。
・文化審議会著作権分科会は「柔軟な権利制限規定」を設ける方針を示し、
次のような3つの「層」に基づき規定を整備。
1.第1層: 権利者の利益を通常害さない行為 → 抽象的に規定(法第30条の4)
2.第2層: 権利者の不利益が軽微な行為 → 社会的意義に応じた規定(法第47条の5)
3.第3層: 公益性の高い行為 → 立法府で柔軟な対応を整備。
・これを受け、平成30年に改正著作権法が成立し、平成31年1月1日より施行された。
2.法第30条の4の対象となる利用行為
・「思想や感情の享受を目的としない利用行為」が対象。
〇享受目的とは、視聴者などが著作物を味わって知的・精神的な満足を得ること。
・対象行為の例:
〇プログラムのリバースエンジニアリング。
〇美術品の試験的複製(開発目的の複製)。
・これらは著作物の価値を享受する行為ではなく、技術的な試験や解析に必要な
行為とされるため、権利制限の対象となる。
3.「享受」の意義および享受目的の併存
・「享受」とは「精神的に優れたものを味わい楽しむこと」を指す。
・ある行為が「享受」を目的としているかは以下の点を総合的に判断:
〇行為者の意図(主観)。
〇行為の態様や利用経緯などの客観的状況。
・「享受」を目的としない典型例として、「情報解析の用に供する行為」が法
第30条の4第2号で示されている。
・ただし、行為の目的が主に技術的利用であっても、同時に「享受」の目的が
含まれる場合は、法第30条の4は適用されない。
〇その場合、法第47条の5(軽微な利用)が適用されることがある。
法第47条の5の内容
●目的: 新たな知見・情報を生み出すための情報処理行為を促進すること。
●対象行為: 「電子計算機による情報解析」およびその結果の提供。
●条件: 軽微な利用であること。
〇利用される著作物の部分や量、精度などが軽微な範囲内に限られる。
まとめ
●AIを利用する行為は、あくまで人間が主体となり責任を負う前提。
●AIの開発・利用においては、著作権法の基本的な「表現の自由」や「社会的な
情報の豊富化」という目的との整合性が求められる。
●権利制限規定を適用することで、一定の条件下でAI学習や生成物利用が許諾なし
に行える場合もある。
●国際的な利用に際しては、利用行為の場所や影響範囲に応じた準拠法の判断が
重要となる。
●権利制限規定の整備により、技術的利用を目的とした情報解析や試験的利用が可能に。
●「享受」を目的としない技術的利用は法第30条の4が適用される。
●軽微な利用には法第47条の5が適用され、情報処理の発展に資する柔軟な権利
制限が規定されている。
次回も引き続き要点をまとめたものをご紹介いたします。
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【2】弊社サービスのご案内 ~クレジットライン~
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転載許諾取得の際、著作権者からクレジットライン記載の条件を指定される
ことがあります。
特に多くの海外出版者からクレジットライン記載を指定されます。
●クレジットライン(著作権表示)とは
クレジットライン(Credit Line) とは、著作物の著作者や権利者を示す表示のこと
を指します。通常、文章、画像、写真、映像、音楽などの著作物を使用する際に、
その著作権者、出典元、制作年などの情報を明記することで、適切な著作権保護を
行い、著作者の権利を尊重します。
<クレジットラインに含まれる主な要素>
1.著作者名(Creator/Author)
2.制作年(Year of Creation)
3.出典元(Source)
4.権利表示(Copyright Statement)
<クレジットラインの例>
Copyright(c)2020 Massachusetts Medical Society. All rights reserved.
※(c)は、○(まる)にcのコピーライトマークです。
<クレジットラインを付与する目的>
・著作者への敬意を示す
著作物の使用時には、著作者を明示することで敬意を表します。
・著作権侵害の回避
著作権法に従い、無断使用を避けるためにクレジットラインが必要です。
・利用条件を明示する
著作物の使用条件(営利利用禁止、改変可能など)を明確にするため、
適切なクレジットラインを提示します。
▼弊社が提供するサービス
弊社では、安心安全な利用を実現するために、許諾取得時に条件として権利者から
クレジットラインの記載指示があった場合、具体的な記載内容をご案内しています。
クレジットラインに関する相談、クレジットラインの記載方法など、
著作権に関する煩雑な手続きは、私たちにお任せください。
まずは、お気軽にお見積もりのご依頼を。
概算見積をご確認いただいた後に、正式な申請をお受けします。
転載許諾のお見積もりには、
簡易見積
詳細見積
いずれかをご選択いただけるフォームをご用意しています。
下記のフォームからご連絡ください。
・転載許諾申請 見積依頼フォーム
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-tensaikyodaku-form
—
*著作権および別刷に関するお問合せフォームはこちら
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-contact/
*「転載許諾申請 見積依頼フォーム」からご依頼いただけます。
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-tensaikyodaku-form
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*編集後記*
先日、念願だったルリビタキの撮影をすることができました。
拙い写真ですが、嬉しくて何度も見返してしまいます。
次はウソやイワツバメの撮影を目標にしたいと思っています。(Y.S)
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最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
●このメールは、これまでに弊社サービスをご利用またはお問い合わせいただいた
お客様宛に送信しております。
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