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「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(7)、許諾にかかわるTIPS:書誌事項とクレジットライン:CCSフラッシュNo.054

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サンメディアCCSフラッシュNo.054では、以下の情報をお届けいたします。

 ● 許諾にかかわるTIPS:書誌事項とクレジットライン
 ● 「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(7)

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【1】許諾にかかわるTIPS:書誌事項とクレジットライン
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今回は書誌事項とクレジットラインについてご紹介します。

まず、「書誌事項」とは、論文などの文献に関する情報、つまり:

・論文タイトル
・著者名
・雑誌名、巻号、ページ数
・発行年、DOI などの識別子

といった、文献の出典を明らかにする情報を指します。
転載を行う際には、この書誌事項を正確に記載することが基本です。

一方、「クレジットライン」は、転載に際して付ける著作権表示のことを指します。
たとえば、図やグラフの転載元に次のような文言を添える形です:

“Reprinted from [雑誌名], Vol.xx, Author(s), Title, c[発行年] with permission from [出版社名].”
出版社によって、表記方法や文言の指定が異なるため、許諾取得時に案内される内容を、
そのまま使用することが原則です。

書誌事項は出典の正確な記録、クレジットラインは許諾条件に基づく著作権表記です。
どちらも、転載の際に欠かせない要素ですので、確認・掲載を忘れずに行いましょう。

・著作権に関するお問合せ・ご相談 フォーム
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-other-form/

・転載許諾申請 見積依頼フォーム
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-tensaikyodaku-form

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【2】「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(7)
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文化審議会著作権分科会法制度小委員会が令和6年3月15日に
「AI と著作権に関する考え方について」を発表しました。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf

本文書は、生成AI(人工知能)と著作権の関係を整理し、関係者の理解を深める
ことを目的とし、AI技術の発展と著作権保護のバランスを図るための指針として、
関係者の参考となることを目指しています。
今回は、「5.各論点について」の「(3)生成物の著作物性について 」の要点です。
◆要点◆
(3)生成物の著作物性について
ア. 整理の前提と意義・実益
 ・著作権法では「著作物」は「思想または感情を創作的に表現したもの」(第2条第1項第1号)と定義。
 ・AIが生成したものが著作物かどうかは、この定義に該当するかどうかで判断される。
 ・「著作者」とは「著作物を創作する者」であり(第2条第1項第2号)、AIは法律上の人格がないため著作者にはなれない。
 ・よって、AI生成物が著作物と認められても、著作者はAIではなく、それを用いて創作した人となる。
 ・AI生成物の著作物性を整理することには以下のような意義がある:
  ー生成AIを用いたビジネスモデルの検討に影響。
  ー利用時に著作権者の許諾が必要かどうかの判断に影響。
 ・作品の一部に生成AIが使われていても、それだけで全体の著作物性が否定されるわけではない。
 ・人間が創作した部分と、AIが使われた部分とを分けて判断すべき。

イ. 指示の具体性と著作物性の関係
 ・AIへの指示が単なるアイデアにとどまる場合、その生成物に著作物性は認められにくい(共同著作物に関する判例参照)。
 ・著作物性は個別に判断され、創作的寄与がどれだけあるかを総合的に評価する。
 ・判断の際に考慮される要素:
  1.指示・入力の分量・内容
   ー創作的表現を含む詳細な指示は、著作物性が認められる可能性を高める。
   ー長くても創作性のないアイデアのみの指示では寄与とならない。
  2.生成の試行回数
   ー回数だけでは判断に影響しないが、入力の修正を繰り返すなど工夫が加えられていれば影響し得る。
  3.複数生成物からの選択
   ー単なる選択は寄与とされにくいが、創作性のある選択行為もあるため個別に検討が必要。
 ・AI生成物に対して人間が創作的な加筆・修正を加えた場合、その部分には著作物性が認められる。
 ・ただし、加筆・修正をしていない部分の著作物性には影響しない。

ウ. 著作物性がない場合の保護
 ・著作物性がない場合でも、利用によって営業上の利益が侵害されたときは、民法上の不法行為として損害賠償が認められる可能性がある(判例あり)。


*著作権および別刷に関するお問合せフォームはこちら
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-contact/

*「転載許諾申請 見積依頼フォーム」からご依頼いただけます。
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-tensaikyodaku-form

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*編集後記*
爽やかな初夏から、湿気の多い梅雨へと移り変わりつつあります。
毎年この時期になると、だるくなります。湿気や気圧の変化によるもので、
「梅雨バテ」というそうです。真夏のような猛暑日もありました。
「暑熱順化」のためには適度に汗をかくことが大切みたいです。
体調管理を意識しながら季節の変化を乗り切りたいですね。(K.H.)
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