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サンメディアCCSフラッシュNo.052では、以下の情報をお届けいたします。
● 許諾にかかわるTIPS:原典がある場合の対応(孫引き)
● 「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(6)
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【1】許諾にかかわるTIPS:原典がある場合の対応(孫引き)
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転載を検討している図表や文章が、もともと別の文献から引用されていた、
というケースはよくあります。
たとえば、論文Aに掲載されている図が、実は論文Bからの転載だった、
というような場合です。
このような場合、転載許諾を得る対象は、実際の著作権者である“原典”
の方になります。つまり、引用元の文献(論文A)ではなく、原典(論文B)から
許諾を取得する必要がある、ということです。
対応の流れとしては、以下のようなステップをおすすめします:
1.転載したい図や文章が“どこから引用されているか”を確認する
2.原典が明記されていれば、その著作物を特定し、原著作権者への申請を検討する
3.不明な場合や複数の出典がある場合は、出版者・著者の確認を通じて判断する
転載対象に原典がある場合は、その著作物が本来の権利の所在であると認識し、
直接の転載元ではなく、原典に対して許諾を取得することが原則です。
不明な場合や、判断が難しいケースでは、ぜひお気軽にご相談ください。
・著作権に関するお問合せ・ご相談 フォーム
https://www.sunmedia.co.jp/ccs-other-form/
・転載許諾申請 見積依頼フォーム
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【2】「AI と著作権に関する考え方について」を読み解く(6)
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文化審議会著作権分科会法制度小委員会が令和6年3月15日に
「AI と著作権に関する考え方について」を発表しました。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
本文書は、生成AI(人工知能)と著作権の関係を整理し、関係者の理解を深める
ことを目的とし、AI技術の発展と著作権保護のバランスを図るための指針として、
関係者の参考となることを目指しています。
今回は、「5.各論点について」の「(2)生成・利用段階 」の要点です。
◆要点◆
(2)生成・利用段階
ア 検討の前提
– 生成AIによる生成・利用行為は、既存著作物の著作権侵害となる可能性がある。
– 類似性と依拠性の両方が認められる場合に著作権侵害となる(従来の創作と同様)。
– 利用者が知らずに学習済み著作物が含まれる生成AIを使うこともあり、特殊性がある。
– そのため、著作権侵害の判断基準、責任主体、受け得る法的措置について整理が必要。
イ 著作権侵害の有無の考え方について
(ア)類似性の考え方
– 単なる同一性ではなく、既存著作物の「表現上の本質的な特徴」が感得できるかが基準。
– AI生成物も、人手による創作物と同様に判断される。
– 「本質的な特徴」は事例ごとに個別判断される。
(イ)依拠性の考え方
– 判例では、類似性があるうえで、著作物の内容を認識・接触していたと推認
できるかが依拠性の判断基準。
– 生成AIでは、利用者が学習内容を知らないケースがあり、従来とは異なる点がある。
以下、依拠性の具体的な分類:
1. AI利用者が既存著作物を認識していた場合
– Image to Imageのように既存著作物を入力した場合などは依拠性が認められる。
– アクセス可能性や類似性の高さから依拠性が推認されることもある。
2. 利用者は認識していないが、学習データに著作物が含まれる場合
– 客観的にアクセスがあったとみなされ、通常は依拠性ありとされる。
– ただし、生成AIが著作物の創作的表現を出力しないよう技術的に担保されていれば、
依拠性が否定される可能性もある。
– この場合、開発者が侵害責任主体となる可能性もある。
3. 利用者も認識せず、学習データにも含まれていない場合
– 類似していても偶然の一致とされ、依拠性は否定され、著作権侵害は成立しない。
ウ 依拠性に関するAI利用者の主張と学習データについて
– 依拠性が推認された場合、利用者は反証(否定)の主張が必要となる。
– 生成AIが当該著作物を学習していないことを示すと、依拠性を否定する要素となる。
エ 侵害に対する措置について
– 差止請求:故意・過失の有無に関係なく可能。
– 損害賠償請求:故意または過失が必要。
– 刑事罰:故意がある場合に限られる。
– 故意・過失がなくても不当利得返還請求(使用料相当額)が認められる可能性あり。
オ 利用行為が行われた場面ごとの判断について
– 生成行為と利用行為で故意・過失の有無が異なる可能性あり。
– 生成時は合法でも、利用段階で著作権侵害に該当することもある。
カ 差止請求として取り得る措置について
– 差止請求や生成物の廃棄請求が可能。
– 学習データに含まれる著作物の廃棄請求も条件付きで可能。
– 再侵害防止のための措置(プロンプト制限、生成制限など)も求められる可能性がある。
キ 侵害行為の責任主体について
– 原則:物理的行為者(AI利用者)が責任主体。
– 例外:以下の場合、開発・提供事業者も責任を負う可能性あり。
1. 特定の生成AIで高頻度に侵害物が生成される場合。
2. 類似生成のリスクを知りながら対策を怠っている場合。
3. 類似生成防止の措置を講じている場合は責任軽減。
4. 利用者の意図で侵害が起きた場合でも、生成AIに制限がかかっていれば
開発者は責任を負いにくい。
ク 生成指示のための生成AIへの著作物の入力について
– 入力時に著作物の複製が生じる可能性がある。
– 情報解析目的であれば、法30条の4により適法とされることがある。
– ただし、著作物の思想や感情を享受する目的がある場合は同条の適用外。
ケ 権利制限規定の適用について
– 私的使用(法30条1項)、教育目的(法35条)、社内検討目的(法30条の3)などの
例外がある。
– 生成段階と利用段階で別々に適用の可否を検討する必要がある。
コ 学習に用いた著作物等の開示が求められる場合について
– 依拠性の判断のために、AI開発者に学習データの開示を求めることが可能な
場合あり(民事訴訟法や著作権法114条の3)。
– ただし、高度な類似性などから、開示がなくても依拠性が認められる場合もある。
◆まとめ◆
生成AIによる出力物が既存著作物と「類似性」「依拠性」の両方を満たす場合、
著作権侵害となる可能性がある。
AI利用者が著作物を認識していない場合でも、学習データに含まれていれば
依拠性が推認されうる。
侵害が認められれば差止請求、損害賠償、刑事罰などの法的措置の対象となる。
開発・提供事業者も一定条件下で責任主体となる可能性があるため、対応が求められる。
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*編集後記*
近所からは冬鳥が旅立ってしまい寂しい今日この頃ですが、ツバメを見かけるように
なりました。野鳥を観察するようになってからは、見かける野鳥でも季節の移り変わ
りを感じています。これからの季節はシジュウカラなどの幼鳥を見ることができるの
もとても楽しみです。(Y.S)
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