こんにちは。株式会社サンメディア CCS権利処理推進室です。
平素より著作権許諾申請代行サービスをご利用いただきまして、誠にありがとう
ございます。
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7月12、13、14日に弊社がオンライン開催した
「第21回学術情報ソリューションセミナー」にて
弁護士の小林利明先生に、「企業内における他人の著作物利用上の注意点」
として、ご講演を賜りました。
ご講演の内容は、職務著作、複製、引用、翻訳、翻案、
そしていま注目のAIと著作権でとてもわかりやすいご講演でした。
そこで、サンメディアCCS フラッシュ028では、小林先生御監修の下で、
ダイジェスト版をご紹介いたします。きっと実務にお役に立つことと思います。
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「企業内における他人の著作物利用上の注意点ー職務著作、複製、引用、翻訳、翻案ー」小林利明先生
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7月13日開催の弊社主催学術情報ソリューションセミナーにて、
弁護士の小林利明先生にご講演をいただきました。
具体的な利用場面を例示し、権利制限規定などの成立要件について、
著作権法の条文を読むだけではわからない点も含めてご解説いただきました。
その内容を簡単にご紹介します。
●私的使用のための複製
企業内での利用については、私的使用のための複製にはあたりません。
複製には、「コピー(印刷)、スキャン、スクリーンショット、
写真撮影、録音、録画」、「記録媒体の移し替え、社内LANへの掲載」
などが該当します。社内での複製については、JRRCの包括契約で
カバーされることがあります。セミナーの資料を自社の別の社員に
共有することの可否は、セミナー運営者や講演者のポリシー次第であり、
可能としていることもあります。
●付随的利用(写り込み)/検討の過程における利用
インタビュー撮影で、取材対象者がキャラものの服を着ていた場合など、
キャラクターの複製が付随的利用として適法となるためには、
付随的部分が「軽微な構成部分に留まること」「正当な範囲内での
利用であること」「著作権者の利益を不当に害しないこと」が必要で、
さらに詳細な要素を検討し、総合的に判断します。
ライセンス商品の開発の社内検討のため、他社キャラクターのデザイン案
を描くなど、他社キャラクターを描くことが検討の過程における利用として
適法となるための要件は、「許諾を得て著作物を利用しようとする者」が、
利用の「検討過程における利用を目的とし、必要と認められる限度であること」、
「著作権者の利益を不当に害しないこと」です。
●非享受的利用
いま話題の情報解析(AI開発のためのディープラーニング)も含まれます。
その適法要件は、「著作物の享受を目的としない場合であって、必要と
認められる限度であること」、「著作権者の利益を不当に害しないこと」です。
「享受」とは、「著作物の視聴等を通じて視聴者等の知的・精神的欲求を
満たすこと」を指します。
非享受的利用が問題となるのは主に「AI開発・学習段階」で、
「生成・利用段階」(AIによる生成、生成物の利用)における著作権侵害の
判断は、人がAIを利用せず絵を描いた場合など通常の場合と同様、
「類似性」と「依拠性」の有無によって判断されると現在は考えられています。
現在、課題について検討が行われていて、年内に政府から統一ガイドライン
が発表される予定です。
●引用
学術雑誌の記事の一部を引用する場合など、引用といえるための要件は、
著作権法の条文に書かれている要件だけでは必ずしも明らかではなく、
事案を踏まえて、「明瞭区別性+主従関係」、(1)引用目的・態様
(量的・質的な考慮)、(2)利用される著作物の種類や性質、
(3)著作権者に及ぼす影響の有無・程度などの事情も総合的に考慮して
判断されます。
●転載
官庁発行が自己の名義で公表する「〇〇白書」などの資料を大幅に
転載する場合を例にしますと、著作権法の規定により、転載を禁止する旨
表示がない限り、「新聞紙、雑誌その他の刊行物」に自由に転載できますが、
出所明示が必要です。翻訳して転載することは可能です。
●翻訳・翻案
古い年代の著作物の翻訳については保護期間が問題になります。
相互主義のため、短い方に合わせることができます。著作物によっては、
戦時加算(最大約10年5ケ月)も考慮する必要があります。1970年末までに
出版された本で10年間翻訳されていないものは翻訳権が切れて、
翻訳が自由になるというルールがあります(翻訳権の10年留保)。
「外注先に委託して納品された成果物を一部改変して使用したい」(翻案)
という場合、俗に「買い取り」といわれる場合でも、著作権が譲渡された
とは言い切れません。自分たちで翻案できるようにするためには、
特掲著作権(第27条と第28条)を含めた著作権の譲渡、
著作者人格権の不行使特約を含めた契約とする必要があります。
●職務著作
職務著作の要件にある「その法人等の業務に従事する者」とは、
直接雇用関係にある従業員の他、役員、派遣労働者、業務委託者も含まれる
ことがあります。今後、トラブルが増える可能性があることとして、
兼業・副業、限定正社員、ジョブ型雇用といった被雇用者が作成した
著作物の著作者・著作権者は誰になるのかという問題があります。
兼業・副業においては、職務著作は自社あるいは他社のいずれかのもの
となるのか、あるいは両者の共有となるのかなどの問題が考えられます。
職務著作については、知財管理と労務管理の両輪で考える必要があります。
最後に
企業内で生み出される著作物の権利の取得には、職務著作など
「原始取得」するものと、著作権の譲渡によって「承継取得」するものとあります。
一方、企業に権利が帰属しない第三者の著作物を企業内で利用する場合、
権利制限規定の理解が重要です。また、生成系AIなど新しい技術や法改正の理解、
海外の動向のフォローにも常に留意することが重要です。
(文責:サンメディア)
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*編集後記*
この夏、サングラスを新調しました。
普段は度の強い眼鏡をかけているため、あまりサングラスを使うことがなかったの
ですが、陽射しの強さに耐え兼ねて買うことに決めました。
サングラスをかけると、少し世界が涼し気に見えて今ではとても気に入っています。
まだまだ猛暑が続き、秋が待ち遠しく感じますが、何とか乗り切りたいと思います。
(S.S.)
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最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
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